司法翻訳・通訳会議

droit a la traduction

気づけば夏時間に変わり、3月も終わり。

一ヶ月ほぼ缶詰状態だった裁判所の膨大な仕事がようやく終わりました。
夢に原稿内容は出てくるも、3月の記憶はそれ以外ほとんどありません(苦笑)。

さて、突然ですが、EU指令2010年64号を知っていますか?

この「刑事手続における通訳及び翻訳に対する権利」に関する指令。
フランスでは、2013年10月に適用されたのですが、先日、EUの翻訳総局パリ支部で現状・課題等に関するコンファレンスが開催されたので束の間の休息?で参加してきました。

場所は、オフィスのある通りと同じサン=ジェルマン大通り。
ですが、翻訳総局のあるパリ7区は官公庁地区。学生の多い5区のカルチエ・ラタンとは雰囲気が随分変わります。

 

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(EU翻訳総局パリ支部。り、立派でした)

 

さて、先ほどのEU指令ですが、「刑事手続における言語を話さず理解しない者に対する公正な手続き、裁判を確保するため、通訳、翻訳を受ける権利を保障する。」というものです。

ご存知の通り、フランスは各裁判所が鑑定家リストを所有しておりその中に司法通訳・翻訳が含まれます(日本語ではよく法定翻訳家と呼ばれています)。

今回の会議では、欧州司法通訳・翻訳者協会(EULITA)、司法関係者(判事、検察、司法省)、イタリアの大学教授、各通訳翻訳者団体が、同指令導入後の現状・課題について発表、参加者との意見交換を行い、大変興味深いものでした。

 

 

2時間半の会議でしたが、ざっくり言うと、
1)通訳、翻訳の質の問題。権利は拡大したが、(特に)通訳の不足。

リスト内認定通訳をすぐに確保できない。
(金曜夜でも呼ばれればすぐに行かなければならない、拘束時間が長いなど結構大変)。

複数の(半)非公式?リストの存在や、プロの通訳・翻訳者以外のその言語を話す者など、通訳、翻訳の質が保障されていない。

2)費用の問題当たり前ですが権利が拡大すれば、費用も増える。
が、司法通訳・翻訳者の報酬は、司法以外の報酬とかなりの差がある。

1)に戻る。

2)に続く。。。

EULITAの代表が、この状況をうまくまとめた発言をしていたので、敢えて直訳にしておきます(笑)

「ピーナッツでは猿しか集まらない」

バッサリですね。

まあ、これ以外にも色々と課題はありますが、公正な裁判を原則とするEUの取り組みには学ぶべきことが多いように思います。

そして何より、司法関係者の発言を聞いていて強く感じたのは、この指令のおかげで、ようやく!法曹界にも通訳、翻訳者の存在が認められたということです。

今後、双方が協力して質の高い権利の保障ができると良いですね。

日本では適切な通訳・翻訳が保障されていると思いますか?

司法翻訳・通訳会議

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